月刊ミニ極真かわら版

月刊ミニ極真かわら版 2021年11月号


11月の言葉「極める」

 第16回東北極真カップ大会も、選手、審判員、スタッフ、そして前日に会場設営してくださった道場生スタッフ、又、保護者様スタッフ全員の総力で大会を成功裡のうちに終了することが出来ました。誠にありがとうございました。
これからはグラチャン大会に向けて、又、来春のチャレンジカップ大会に向けて組手、型の強化が大切なテーマとなっていきます。
当初、大山倍達総裁の唱えた組手の三原則というものがありました。
相手よりも①力(パワー)、②速さ(スピード)、③技術(テクニック)が優れていれば必ず勝つというものです。もちろんこれにふさわしい「心技体」が必要です。
1975年に第1回世界大会を開催した時には、外国人選手に勝つためには、①パワー、②スピード、③テクニック、そして④リズム、⑤ジャンプ力の五大要素の大切さを大山総裁はおっしゃっていました。その稽古目標として、①稽古量で上回ること、②スタミナで上回ること、③ジャンプ力で上回ること、④リズミックな動きで上回ること、⑥精神力で上回ること、⑦新しい技の創意工夫と点を中心として、直線はこれに付随する。サークルのカラテから出るパワーの研究の強化が唯一外国人選手に立ち向かえるための方法とおっしゃってます。全て大切な要因ですが、この中でも⑦新しい技の創意工夫は最も大切です。道場稽古でも、組手でも型でも、十年一日の如き同じことだけするのではなく、そこに弛まざる創意工夫が必要です。毎日毎回創意工夫する。その積み重ねが年季を掛けて偉大な実績となっていきます。
また、型の定理は①力の強弱、②技の緩急、③息の調整です。それに①立ち方、②姿勢、③引き手の位置、④技のスピード、⑤気合の大きさ、⑥目付、そして気迫と気概という気を稽古し、身に付けなくてはなりません。①審査会で昇級するための型、②競技で競う型、③型の完成、人格の完成のための型の三種に分かれます。今回、一般として出場し、初めて2位になった松橋孝明先輩を例にして説明します。松橋先輩は約9年前に50歳代で入会しました。それ以来、毎週2回の稽古を欠かさず、地道に稽古を積み重ねてきました。試合に出ても一般部です。壮年部はありません。中学生(12歳)以上の選手と競ってきました。数多く負けても決して腐らず、努力と忍耐を積み重ねてきました。今から3年前に私が毎週水曜日の師範稽古終了後に型講習会を個人的に指導するようになりました。この3年間、ずっと言ってきた事は「肉体と精神を一つに繋ぐのは呼吸法にあること。吐き切る呼吸に集中すれば、無念無想に入ることが出来るということ。」そして60歳代である松橋先輩に「日ごろ真剣に稽古に打ち込むことも良いが、絶対に失敗してはいけない条件での型、例えば大会や演武、審査会。吐き切る呼吸に集中した時の型を演武した時に何かを掴むことが出来る。例えば周りの景色が聡明に見えたり、技のキレ、気迫、気概がいつも以上に出てたり、入ったり、周りがゆっくりと動き出したり、内側から本流のような力が突き上げてきたり、何かを掴むはずです。それは自得であり悟りです。そうなると型が自分を磨き成長させてくれるから、型から離れることが出来なくなります。そして、人格をも磨き高めてくれます。」と。
私は今年で42年、カラテ一筋できましたが、本当にこの事を強く思います。ぜひ皆さんと共に極真の道を歩みたいと思っています。

主席師範 田畑 繁